刃物や機械で指、時には手のひらのレベルで指がもげて血の巡りが全くなくなった状態を切断指と言います。
皮膚や腱だけでつながっているものは不全切断指と言います。
指が切断されるときは、皮膚や骨は勿論、指の関節を動かすすじ(腱)や、指の感覚を司る神経、指に血液を送る動脈、指に来た血液を心臓に戻す静脈など重要な組織も切断されます。切断された指の血行を早急に回復する手段を講じないと、指の組織は死んでしまいます。
全ての切断指が再接着可能なわけではありません。刃物で鋭利に切断された指や、切断部の組織の挫滅が限局するものは良い適応です。最近では、血管が非常に細い指先の切断でも積極的に再接着が行なわれるようになってきています。
切断部だけでなく全体が圧挫されているような指、引き抜かれた指、熱も加わって切断された指、切断後冷却処置がされないで時間が経った指は再接着出来ません。
微小血管吻合(マイクロサージャリ)が出来る手外科医に行なってもらわなければなりません。
切断された指は先ずサランラップで包むかビニール袋に入れ、それを氷の入った容器に入れて冷却しながら病院へ運んで下さい。
再接着術は、切断部の挫滅組織を切除した後、骨を少し短くして鋼線で固定し、指を伸ばす腱と曲げる腱をそれぞれ縫合し、顕微鏡視下で切断された静脈と動脈をそれぞれ内腔が狭くならないように極く細い糸で縫い合わせます。最後に神経を縫合して、創を閉じます。
全ての再接着術が成功するとは限りません。切断された指の状態、患者の年齢、動脈硬化など血管の状態、喫煙歴の有無などに影響されます。
手術後24時間以内は縫った血管が詰まる可能性が最も高く、再手術が必要になることがあります。 ギプスシーネで手全体を固定し、手術部位を保護します。 手の腫れを防ぐための挙上と、血管を拡張させるための保温も大切です。 血液が固まらないような薬剤の点滴注射を約1週間行ないます。 喫煙は血管を縮めて細くするので、厳禁です。
3週間は余り積極的な指の運動は行ないません。縫った血管を通る血流が安定したら、再接着した指の関節の動きを出すための積極的なリハビリ訓練が必要になります。
縫った神経は、縫合したところから芽が伸びるように徐々に回復して来るので、指先の感覚が戻るまでに何ヵ月かかかります。
乳児の頃から母指(親指)の第1関節が曲がったままで伸びない状態を強剛母指と呼んでいます。母指の付け根の部分にしこりが触れることがありますが、あまり痛がりません。
母指の第1関節が曲がったままで他動的にも伸びない状態であることに、親指サポーターで母親などが気付きます。押しても痛みはありません。
はっきりわかっていません。
母指を曲げる腱というヒモがあり、硬い靱帯性腱鞘というトンネルを通ります。腱がこのトンネルの出口で膨らんで太くなり、このトンネルの中に入らなくなります。
生後3ヵ月以降になって親が母指を伸ばさないことに気が付くのが普通です。伸ばそうとしても伸びないことや、しこりがあることなどで診断します。
自然治癒することがあるので、放置するか副木をあてたりします。手術は狭くなった靱帯性腱鞘を開きます。それによる障害はほとんどありません。
詳しくは整形外科医にご相談ください。
「爪周囲炎」
爪の周囲はいつも外傷などの危険がある場所です。爪周囲がささくれなどで傷つくとそこからばい菌が入り、爪の周囲が赤くはれるなどの炎症を起こします。
指先の腹側が化膿するものは、ひょう疽(瘭疽)と呼ばれます。
症状
急性炎症では爪の周囲の痛み、発赤、腫れがあり、進行すると膿(うみ)がたまります。親指サポーターでずきずきする痛みで、眠れないこともあります。
原因と病態
爪周囲炎は、ささくれ(さかむけ)、ふかづめ、陥入爪、マニキュア、爪を噛むくせなどが原因となり、化膿菌が進入して発生します。爪の根もとに向かって化膿が進んでいきます。
このほかに指先の腹側が化膿するひょう疽(瘭疽)という病態があります。
診断
爪の側面、爪の付け根の痛み、発赤、腫れがあらわれ、進行すると膿がたまって黄色くなります。爪の下に膿がたまることもあります。
治療
初期には化膿止め(抗生物質)と冷湿布で治療します。膿がたまっているときは切開して膿を出します。爪が食い込んでいるような場合は、食い込んでいる爪の一部を部分切除します。爪の下に膿がたまっていれば爪を切除して膿を出す必要があります。
詳しくは整形外科医にご相談ください。